いろいろな容器を殺菌消毒する場合、容器の種類や用途に合った消毒の仕方があります。たとえば、食品の保存容器だったり、市販の製品(食品以外)を小分けする保存容器など。手作り化粧水などのコスメはポピュラーですが、慣れない最初のうち疑問におもう部分として殺菌消毒の方法だと思います。かく言う私も以前、手作り化粧水を作る際の消毒方法や容器と消毒液はどれを用意するといいのか?といった点でつまづいて調べまくった記憶があります。
今回は、食品以外の保存容器の種類や材質、主に手作り化粧水・市販化粧水を小分けする容器に合った消毒の仕方に着目しまとめていきます。
消毒と保存方法の重要性
まずは、なぜ容器の消毒が必要なのか?ご存知の方も多いと思いますが、大切なことなので簡単に書いていきますね。
今や簡単に作れる手作りコスメの代表格である「手作り化粧水」は、手軽に作れるイメージですよね。確かに簡単・手軽ではありますが、保存容器の消毒を怠ると、雑菌が繁殖し肌に悪影響という結果に。
せっかく好みの容器を用意したり、お肌に合ったレシピの化粧水を作っても、手作り化粧水は基本的に防腐剤を使用しませんから、容器の殺菌消毒と保存方法を間違えたり怠ると、お肌をキレイにするためのスキンケアが逆にお肌を悪くするためのお手入れになりかねないのです。ですので、容器の消毒と保存方法および取り扱い方・保存期間は後述しますので、しっかり守り清潔に使いましょう。
容器の種類と選び方
手作り化粧水を作る前に、一番最初に覚えておくとベストなのは、レシピや材料についてよりも『容器選び』にあるとお気づきでしょう。わざわざ購入しなくても、家にあるものだったり空になった市販のコスメ容器で十分ですが殆どの方は、捨てちゃってますよね?私も使い終えると同時に捨ててしまうので手ごろな容器を探すことに。
そこで、以下の2つがポイントとなります。
- 保存期間の関係から多めの使用量だとしても、一人分の目安は50~100mlです。そのため、小分け容器も同量の50~100mlサイズがスマートで邪魔になりません。
- 必ず透明の容器にしましょう(精油やキャリアオイルは遮光瓶)。中身が見えることで浮遊物がないか(雑菌が繁殖していないか)目視できるようにするためです。
さあ、次は容器の種類についてお話していきます。
用途に適した容器の種類
容器の材質はさまざまですが、大別すると、ガラスとプラスチック(樹脂)に切り分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるのでシーンや自分に合うタイプを選びましょう。
ガラスは、煮沸消毒できる特性を生かすならば、気泡や亀裂のない耐熱のガラス製品を。ガラス瓶の購入時は耐熱性の有無に気をつけましょう。アルコールや精油を多く使う手作り化粧水レシピの場合は、ガラス瓶が理想的ですが、殆どの場合は専門店や100円ショップで取り扱っているプラスチック(樹脂)容器で十分間に合うでしょう。
しかし、プラスチック(樹脂)は熱を加えると軟化して流動体となりますので煮沸消毒はできません。また、プラスチック(樹脂)にも種類があり、商品に樹脂名、もしくは略称で表記(PP、PEなど)されていますので、しっかり確認しましょう。
そして、樹脂はポリプロピレン(PP)>ポリエチレン(PE)>>ポリエチレンテレフタレート(PET)の順で耐薬性に優れています。ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂は、酸性やアルカリ性に弱いという特性があります。
長期保存するものに関して、プラスチック容器での保存は、嫌がる(怖がる)方もいるようです。プラスチックを形成する際の溶剤などの化学物質が溶け出すという理由からです。
長期保存するものは、ガラス容器、ステンレス容器、琺瑯容器など、入れるものに適した容器へ保存するのが理想です。
ガラス容器のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
良質のガラス容器なら煮沸消毒でき、壊れるまで使える | ドロッパーに触れずにセットするのが大変 |
外からの刺激に強く影響されにくい。入れるものによって中身も容器もほぼ変質しない | 重さがあるため、持ち歩きが不便 |
割れやすい | |
香りが残りにくい(蓋に残る事はある) | 購入する場合、樹脂製より高価 |
ガラス容器の耐久がいくら高くとも、ドロッパーやヘッドのパーツは劣化していくので、パーツは変えの利きやすい形状を選ぶと安心です。
樹脂製容器のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
キャップとドロッパー一体型を選べば、ドロッパーに触れる事無くセットする事が出来るので衛生的 | 樹脂の性質によっても違いますが、3~10回以上繰り返し利用で劣化していく。精油やアルコールに耐性のない樹脂製容器は多い |
軽いため、持ち運びに便利 | ガラスに比べると弱い樹脂には、単層(薄い)と、多層(厚い)があり、多層であれば化粧品の安全性は十分に確保できる |
サイズも豊富で数を用意し小分けしやすい | |
入手先が多くガラス製よりも安価 | 香りが残りやすい |
樹脂製は種類が多く選びやすいでしょう。樹脂製の中でも多層で比較的強度の高いポリプロピレン(PP)、もしくは高密度ポリエチレン(HDPEまたはPE-HD)を本体の材質に選ぶとより安全でしょう。取り扱い容器本体の材質が、高密度ポリエチレン(HDPE)の手作りコスメの専門店をいくつか見かけました。
化粧水の場合は、なくなる手前に新しく追加分を作るでしょうから、予備を含め2本用意しておくと便利です。
キャップ(ヘッド)の種類とレビュー
キャップ(ヘッド)の種類は上の3タイプが多く、取り扱いやすく入手もしやすいと思います。左端のタイプはキャップで覆われていないため、手作り化粧水には衛生的に不向きです。手作り化粧水であれば、右の3タイプがおすすめです。私は、顔だけでなく頭皮や体にも使っていたのでスプレーヘッドが特に使いやすかったです。また、樹脂製容器を手作りコスメの専門店と100円ショップそれぞれから購入し使ってみましたが…
- 本体の材質・・・手作りコスメの専門店>100円ショップ
- ヘッドの使用感・・・手作りコスメの専門店>100円ショップ
といった結果で、材質にも(安全性)、見た目にも(100円ショップの作りが雑)、使用感にも(ヘッド部分の押しやすさ、キャップの開け閉めやすさ)、顕著にお値段に比例していることが感じられました。
毎日、朝晩と使用頻度の高いものは、私は使いやすさを重視するので専門店の容器を買います。なんといっても、安心して使いたいですし!専門店で買ったとしても200~300円です。樹脂製容器は消耗品といっても、靴やスーツと同じで、最初に2~3個用意して順番に使えば、何ヶ月ももちますよ!
もちろん、質よりお値段重視の方や、お試しで利用する場合などは、100円ショップの容器で十分かもしれません。いずれにしても、コスパという視点では個人差のある製品のようです。
私は、現在ストレスフリーで一番使いやすい、こちらの専門店の容器に落ち着いています。
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手作り化粧水の保存方法・取り扱い方・保存期間
保存方法・取り扱い方・保存期間についてですが、今回は、際限がないので、手作り化粧水に限定したまとめになりますので、ご了承下さいませ。
1、保存方法
必ず冷蔵庫での保管を厳守です!手作り化粧水は、基本的に防腐剤を入れないレシピの方が多いと思います。その場合、常温保管や出しっぱなしで冷蔵庫へしまうのを長時間忘れてしまった時など、雑菌の繁殖がすすんでしまいます。
冷蔵庫の中で、手作り化粧水の定位置を決めておくと、使った後も戻しやすく出し入れが楽になりますね!
2、取り扱い方
キャップ(ヘッド)のノズル部分には決して触れないこと!いくら手をキレイに洗っても人の手や顔には、常在菌が存在するため、化粧水の出入り口であるノズルに触れてしまうと、雑菌の繁殖すすんでしまうからです。
3、保存期間
保存期間は、冷蔵庫の中で取り扱いを清潔に保った前提での期間です。
基本、1週間が目安として扱います。夏場は、食品と同じで品質が低下しやすいため、5日など少し短く扱うといいでしょう。また、これらはあくまでも目安の期間ですので、使用の前に浮遊物がないか変質していないかを目視で確認すると、安全です。
もしなんらかの異変があった場合は、すぐに使用を止めて、中の化粧水は捨てましょう。肌に異常があれば皮膚科へ受診しましょう。
中身に問題なく保存期間を終えて残ってしまった場合は、最終日にコットンなどでフェイスパックしたり、浴槽に入れたり、無駄なく使い切るとよいでしょう。慣れてくると大体の使用量がみえてくるので、使う分だけを作るといった手もあります。
下準備と消毒の方法
いよいよ消毒の仕方についてです。容器別とはいいましても、「ガラス製容器」と「樹脂製容器」の2種で、普段わたしがしている下準備と消毒の方法ですので、必ずしも完全・絶対的なものではない(個人ができる簡単な範囲)点はご留意下さい。なので、自身の覚書メモとしてまとめておきます。
下準備【各容器共通・洗浄】
手作り化粧水で、精油やキャリアオイルなどの油分を使うレシピの場合、容器の内部は、お湯や洗剤で上下に振り洗いしても熱湯消毒・消毒液でも油分はおちません。内部の隅々まで届くような、細長く先端にスポンジかブラシがついているグッヅを駆使して、中性洗剤や石鹸で油分をキレイに洗い流します。もちろん、容器の表面やキャップ(ヘッド)も全て洗いましょう。
食後にお皿を洗うのと同様に、化粧水を使い終わったら洗っておきます。
ガラス製容器の消毒方法
ガラス製は、熱湯での煮沸消毒が可能ですが、耐熱のガラス製でないと割れてしまいます。それから、耐熱のガラス製であっても、間違った煮沸消毒の仕方をしてしまうと割れる可能性がありますので注意してください。
煮沸消毒の手順
- 清潔な鍋の底に布きんなどの布を敷いて、容器の全てが浸るくらいの水を入れます(布を敷くのは、煮沸中の衝撃で割れることを防ぐためです。熱湯にガラスを入れると、急な温度差で割れる可能性があり危険ですから、この時必ずお水から始めましょう。)
- 容器の中に空気が入っていないこと確認し、鍋に沈めてから火に掛け沸騰させます
- 強火で15分ほど加熱し煮沸が終わったら火を止め、少し冷ましてからトングなどで取り出します(少し冷ますのは、急な温度差を避けるためです。ほんの少しの時間で、お湯が熱いうちに取り出します)
- 取り出した容器を軽く水を切るようにしてから清潔なトレイやバットの上にキッチンペーパーや布きんなどを敷いて、容器の口を上にして自然乾燥させます(高温状態のうちに取り出すと、余熱で水分が揮発し乾燥が早まります)
火傷する熱さですから、十分に注意して行いましょう!
樹脂製・ガラス製容器の消毒方法
次は各容器共通で、消毒液を使う方法です。
- 化粧水ボトル・・・ボトルに消毒用エタノールを入れてシャカシャカとよく振ったあと、エタノールを捨て乾燥させます。
- キャップ(ヘッド)がスプレーなどプッシュ式の場合
- ボトルに消毒用エタノールを入れてよく振る
- エタノールを捨てる前に数回プッシュしてエタノールをくぐらせる
- エタノールを捨てたあとも数回プッシュしてエタノールを出しきる
- クリーム容器やフタなど・・・清潔なコットンやガーゼに消毒用エタノールを湿らせて、よく拭きます。
消毒用エタノールを捨てた後や拭いた後、自然乾燥だと、なかなか中の水分が蒸発しないとお悩みの声を見かけますが、消毒後、精製水で洗い流す方もいらっしゃるようです。精製水で洗い流すのは、あくまでも消毒後すぐに使用するという前提です。というのは、精製水は乾燥が遅く、乾燥する前に菌が繁殖する可能性があるため、すぐに使用しない場合は、洗い流さない方がいいでしょう。
また、精製水で洗い流したあと、今度は100%エタノールですすいでから乾燥させる、という方法ならエタノールを消費量は増しますが、すぐに揮発しますので乾燥の悩みからは解消されるでしょう。
あると便利なグッズたち
- トング
- トレイやバット
- 布きん
- 容器が浸るサイズの鍋
このホーローの寸胴鍋なら、高さがあるので煮沸する容器を選びません。そして、かわいい!
消毒液はどれを用意するといいの?
消毒には、「アルコール」や「エタノール」だったり「無水エタノール」や「消毒用エタノール」だとか様々な言い方をしていて、何がなんだかわからないし、わかりにくいですよね。本当に容器の消毒に適した消毒液は、どれなのか?を、簡単にまとめていきます。
無水エタノール、エタノール、消毒用エタノールの違い
エタノールの濃度の違いで日本薬局方で規定されています。また、アルコールとはメタノール(メチルアルコール)、エタノール(エチルアルコール)、イソプロパノール(イソプロピルアルコール)などの総称。一般的にアルコールといえばエタノールを指します。
- 無水エタノール(別名:無水アルコール)・・・エタノール99.5vol%以上
清掃には無水エタノールが最も適したものになりますが、これを薄めると(無水エタノール:水=7:3)最も抗菌・除菌・殺菌に優れた消毒用エタノールとして使用できます。
- エタノール(別名:アルコール)・・・エタノール95.1~96.9vol%
一般的な医療用消毒剤です。
- 消毒用エタノール(別名:消毒用アルコール)・・・エタノール76.9~81.4vol%
エタノール濃度が80%前後のものが最も消毒効果が優れているため、消毒には消毒用エタノールが適しています。
消毒用エタノールと消毒用エタノールIPの違い
いずれも細菌に対する消毒効果はほぼ同じですが、一部のウイルスに対しては消毒用エタノールのほうが消毒効果が優れているとの報告があるとのこと。また、消毒用エタノールIP「IP=イソプロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)」は消毒用エタノールに比べ安価(イソプロパノールを添加しているので、酒税がかからない)ですが、脱脂作用が強く、臭気が強い特性があります。なお、IPAも食品に使える成分ですので、安全性には全く問題ありません。
「無水エタノールと精製水」か「消毒用エタノール」
長くなりましたが、結論として、容器の消毒液には、このどちらかを揃えておくといいでしょう。
- 「無水エタノールと精製水のセット」用途により使い分け可能
- 「消毒用エタノール」は、そのまま消毒液として使用できるので、面倒な方はこちら
お困りの方の参考になれていましたら幸いです。それでは、最後までご覧頂きありがとうございました。
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